映画全編、フルオーケストラ生演奏付き上映コンサートシネマ・オーケストラ [ シネオケ® ]

2019/05/28

【「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」inコンサート】開催レポート

映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のファンなら、鬼才ティム・バートンが創り出した、あの奇妙で愛すべき世界に入ってみたい……と思ったことがあるはず。そんなファンの夢を叶えてくれるのが、この《「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」inコンサート》。映画全編を生演奏で楽しむ“シネオケ”ではあるのだが、本作の音楽を手掛けた作曲家であり、自ら主人公ジャック・スケリントンの歌声を演じたダニー・エルフマンが、ライブで歌ってくれるという夢のようなコンサートだ。エルフマンと共演するのは、アメリカから来日した5名のシンガーと指揮者のジョン・マウチェリ、東京フィルハーモニー交響楽団、そしてコーラスを担当する洗足フレッシュマン・シンガーズ。

『ナイトメアー』のシネオケは2015年にも開催されているが、今回は映画の日本公開から25周年を記念した公演とあって、サプライズ満載! 最初のサプライズは、本編の前に、1929年の短編アニメーション『スケルトン・ダンス』が上演されたこと。スクリーンに映し出されるガイコツの動きとぴったりシンクロした音楽は、コミカルでとても楽しい。
続いて2つめのサプライズ。オーヴァーチュア(序曲)として、『ナイトメアー』の主な楽曲のメドレーが演奏されたのだが、その間、スクリーンにはティム・バートンが描いたスケッチが! ファンにはうれしいプレゼントになった。そしてここからが、いよいよ本編。5名の個性的なシンガーたちが登場し、オープニングナンバーの「ハロウィーン・タウンへようこそ」を歌い始めると、会場は一気に『ナイトメアー』の世界へ。2曲目のミュージカルナンバー「ジャックの嘆き」で、御大ダニー・エルフマンが登場。白黒ストライプのスーツを身につけ、25年前と変わらぬ歌声で、演技を交えながら表情豊かに歌うエルフマンは、まさにジャックそのもの! 圧倒的な存在感だ。
その後も、「クリスマスって?」や「サンディ・クローズを誘拐しろ」などの歌が、ジャックになりきったエルフマンと、多彩な声を使い分けるシンガーたちによって披露されていく。ステージを動きまわりながら熱演を繰り広げる彼らから、目が離せない。

休憩時間にロビーをチェックすると、そこにはコンサートのオリジナルグッズを求める人たちの長蛇の列が。2日目の公演では、売り切れとなるグッズが続出した。客席をまわってパンフレットを販売していたスタッフのカゴもあっという間に空になり、追加のパンフレットを取りに走る姿も。

休憩明けには、ゲスト・ヴァイオリニストのサンディ・キャメロンと、東京フィルハーモニー交響楽団のメンバーからなる“ジャック・スケリントン・バンド”が演奏を披露。超絶なヴァイオリンを、表情たっぷりに踊りながら弾くサンディの可憐な姿に、会場が魅了された。
第2部に用意されていたのは、最大のサプライズ! 映画でウギー・ブギー役のオリジナルボイスを務めた俳優/シンガーのケン・ペイジが登場。ウギーと同じグリーンを差し色にしたスーツ姿で、ジャジーな「ウギー・ブギーのうた」を迫力たっぷりに歌い上げると、その豊かな声と表現力に、会場から割れんばかりの拍手が巻き起こった。さらにドリーミーな「サリーのうた」、そしてエルフマンによる美しいスコアもたっぷりと堪能して、本編が終了。

アンコールでは、エルフマンが「映画の25周年という節目の年に、戻ってこられて嬉しい。日本は(4年前に)このコンサートが世界初演された場所だからね」とあいさつしたあと、「僕のバージョンも聞いて」と言って「ウギー・ブギーのうた」を聞かせてくれた。指揮者のマウチェリも、サンタ役として歌声を披露。エルフマンのパワフルなボーカルと独特な“くねくねダンス”に、観客は大喝采。いまは映画音楽家として知られるエルフマンだが、やっぱり彼は根っからのパフォーマーなのだ。

次にディズニー作品のシネオケが楽しめるのは、8月開催の《「ライオン・キング」ライブ・オーケストラ》。話題の“超実写版”『ライオン・キング』を、全編フルオーケストラの生演奏で楽しめるプレミアムな企画で、世界初演になる。会場の空気を震わす生演奏によって、物語をよりドラマティックに盛り上げ、映画を“観るもの”から“体験するもの”に変えるシネオケを、ぜひ楽しんで。

 

エンターテイメントライター うきたひさこ

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